ノラネコだって、夢くらいみる
いちると別れたあと、私は原宿へと向かった。
全てが始まった街へと___
ここを歩けば思い出す。
退屈だった毎日を。
「RINですよね…?」
知らない中学生くらいの子に声をかけられる。人のことを言えたもんじゃないが、なかなかに小柄で、ほっそりとした女の子。
「うん」
「嘘!本人!どうしよう!?握手いいですか?」
「いいよ」
「やだ、手、洗えない」
「洗いなよ。汚い」
「あはは、ですよね。頑張ってくださいっ!」
「ありがとう」
「あの、私……」
「?」
「RINみたいになれますか?」
え?
「無理、ですかね」
ああ、そうか。この子はいつかの私だ。
「1つ、教えてあげる」
「なんですか?」
キラキラした眼差しでこっちを見る。私の目も、もしかしたら、このくらい輝いていたのかな。
「夢は、口に出したら叶うんだよ」
「ほんとですか?」
「やりたいなら、やりたいって言えばいい」
「……!ありがとうございます!私、頑張ります」
「うん。待ってる」