愛しの魔王サマ

①奇跡と呼ぶのなら・・・



目を覚ますと、どんよりとした魔界の空が見えた。
なぜこんなところにいる。


記憶が、あいまいで、不安定だ。



身体を動かそうにも、どうにも動かせそうにはなく体中を鈍い痛みが駆け巡っている。
なにが起きた?



「・・・体中が痛い」



思わずついて出た言葉。
声は出るようだ。




しかし、誰の反応も返ってこない。
身体がいたく顔を動かすことすらできなかった。



「・・・なんだ、誰もいないのか?アドルフ・・・、おい」




不自由な状況に苛立ちながら声を荒げた。
人の気配はするのだ。


誰かがいることくらい、わかっている。




「マオ・・・さま・・・?」




聞こえてきたのは、アドルフの声ではなく女の声・・・。
その声は・・・。



「・・・なんだ、エマか?お前、いたのか」




なぜここにいるのだ?
エマは、追い返したはずでは?


いや、そういえば戻って来たのだったか。
なんだ、記憶が混沌としている。




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