愛しの魔王サマ

①予兆



「もっと俺を褒めて!まおーさま!」




うっとおしいほどにまとわりついてくるルカ。
この間の人間襲撃の時の事を相変わらず騒ぎ立てる。

なんでも、こいつが一番活躍し人間を撃退したのだという。
まぁ、本人談だ。
どこまで本当なのかはわからんが。




「俺のおかげで、魔王城は傷一つつけられず、足を踏み入れられることもなく済んだんだ!」

「・・・そうか。それはご苦労であったな」

「心を込めてよ!」

「・・・アドルフ。こやつをどうにかしろ」




暑苦しくまとわりつく腕をほどき、身体を抜け出すとルカは心底不機嫌そうに頬を膨らませた。
大の大人の男がそんな顔をしてもかわいくないというのに。




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