アイボリー~少しだけあなたにふれてもいいですか?
11章 父
月曜日、やはり道場に行くことにした。

だって、明日は拓海とドライブデート。

気合い入れなくっちゃ!

時間よりも早めに道場に着く。

いつも通り奏汰は早めに来て一人素振りをしていた。

「お疲れさまです!いつも早いんですね。」

「おお、来たか。」

「気合い入れに。」

そう言いながら、更衣室に向かおうとしたら奏汰に呼び止められた。

「お前、練習の後、俺の用事に付き合え。」

「は?俺の用事?それって何ですか?」

「ま、いいから。」

「はぁい。」

何なんだろ。

大人の考えてることはよくわからない。

美鈴は首を傾げながら更衣室に向かった。

そして、その日の稽古はやけに早く終わった。

来ていたメンバー達がブーブー文句を言っている。

「今日は奏汰さんの用事で早めに切り上げたんだって。」

「なになに?用事って。」

「ひょっとしてデートじゃないの?」

皆がこそこそと楽しそうに笑ってるのを横目で見ながら「お先に失礼します」と言って外に出て行った。

デートね。

俺の用事に付き合わされる、デートっちゃデートなんだろうか。

美鈴は憮然とした表情で待ち合わせのコンビニに向かった。

明日はドライブデートだから、早く寝てお肌つやつやにしとくんだから。

あまり遅くならないうちに帰らせてもらおう。

「おい、早く乗れ。」

コンビニにつくやいなや背後から奏汰の声が聞こえた。

慌ただしく奏汰の助手席に乗る。

そして、これまた慌ただしく車は発進した。

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