見えない何かと戦う者たちへ

「おい垣内、帰るぞ
…ってまた食べるのか!?」

手袋もつけ直し
帰る準備万端のソノに対して机の上に
焼きそばを広げ出した垣内。




「垣内くんの30秒クッキングー!」


垣内は
どこから出したのかスプーンとフォークを振り回しながら歌い出した。

と思ったら携帯で垣内が作曲した鼻歌が
流れているだけだった。



(…コイツ、初めてじゃねーな)

と教室にいた誰もが思った。




「このなんの変てつもない焼きそばに
マヨネーズをかけまーす」

垣内にしては中々いい線をいっている。

「はいっ次に鰹節を入れまーす」

垣内にしては中々美味しそうなものを入れている。

「そしてここが隠し味!
特製のイチゴジャムを…」





「イチゴジャムいらねぇよ!!!」






ついつい
叫んでしまった。

だが
垣内のクッキングはまだ続いている。






「続いて焼きそばのソースをかけます…
出ました!今日の目玉!アイスクリームです!
これをゆっくりと溶かして…

ってその!置いていくなよ!」







垣内は
鞄と焼きそばをしっかり忘れずに持って
ソノを追いかけた。

それでもスタスタと歩いていくので
肩を叩こうとしたときだった。


いきなり振り向いたソノが
垣内の顔面に肘をいれようとした。


ギリギリのところで
当たらなかったもののかなりスレスレだった。







「…ごっごめん」


「…やっ別にいいけど…
やっぱ触れるのだめだよなぁ。
俺が悪かった‼」


「…いや、別に」








なんとなく
居心地が悪くなって逃げるように廊下を進んだ。


垣内も黙って食べながらついてきた。








ソノの心臓は
バクバクしていた。

(どうして、こんなに…)







なぜ肩を触られることに対して
こんなに怯える自分がいるのか、不思議でたまらなかった。

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