見えない何かと戦う者たちへ
翌日の登校時



「その君、おはよっ!」

「…あぁ、はよう」




ソノは早々と靴箱を後にした。

美結とは全く目も合わせずに。

ただ、
恥ずかしい気持ちと
うれしい気持ちが入り混じって
わからなくなって逃げだしただけなのだが。


その行動は美結にとっては不安でしかなく、
「私、なんかしたかなぁ」と
つぶやいたつもりだった。






「どした?
そんな大きな声でため息ついて」

後ろからポニーテールの明日香が
声をかけた。


「…で、一応聞くけど
懍はどうして息が上がってるの?」


あきれた様子で振り返った明日香の後ろに
ゼーハーゼーハーと息が荒い懍の姿があった。




「…ハーハーッ、美結の、ハー、困った顔がハー
 ……かわいいね((グッド!」

懍はよだれをふき取ってグッドと手を前に突き出した。





「相変わらず懍ちゃんは変態だね」

「…美結は相変わらず笑顔で毒舌ね」

「そこもいいよね!あっまたよだれが…」




三人は笑いながら教室に向かった。

靴箱の裏にいた人物に気づくことなく。

彼は美結が来るのをずっと待っていた。といえばまだ聞こえはいいが、ただのストーカーだ
。





「ん?」

「懍ちゃん?」






急に立ち止まった懍に
明日香と美結は振り返った。






「ちょっと用事思い出した。
さき、教室行ってて」

変態の懍がいつにもまして真剣な顔で
去っていった。






「懍ちゃん、
朝からなんか大変そうだね。
あんな真剣な顔して…なんだろ?」

美結は凛とした背中を見送りながら
明日香にたずねた。


「あ~…
あれはねぇ、えっと、掃除よ掃除」


美結とは違って
殺気だって見える懍の背中を見ながら苦笑した。








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