モテ子☆モテ男の恋愛事情。
「今、家?」
『そだけど、どした?』
「いや、櫻井に聞きたいことあってさ」
かっこ悪いけど。
グダグダ考えてるくらいなら、いっそはっきり聞いてしまおう。
「櫻井の彼女って……」
神崎ゆず? と聞くはずだった俺の言葉は、櫻井の言葉によって遮られた。
『彼女? そんなのいるわけないだろ』
「は?」
『あのな、昨日今日で出来るかっつうの。ちなみに、ゆずは違うかんな』
「はぁ?」
『何、その間抜けな声は。ってか、今日一日変だったのってそのせい?』
電話の向こう、アハハと盛大に笑い転げる櫻井が容易に想像できて。
俺の顔がどんどん引きつっていくのがわかった。
「だっておまえ、昼休み…」
『ゆずだとは一言も言ってないだろうが』
「でも…!」
『ゆずとは幼なじみ。ガキん時からずっと一緒なの、兄弟みたいなもん、わかった?』
笑ってたはずの櫻井の声が、途端に呆れたような声色に変わって。
仕舞いには盛大な溜息まで吐かれてしまう。
なんだそれ、とこぼれた俺の声は。
櫻井にももちろん届いて、馬鹿にしたように笑われる。