ハナノナミダ

消えたい








「あんた!起きなんし!」




「……!!」

目が覚めた途端、私は息を呑んだ。


頭に複数の簪と髪飾りをつけ、綺麗な着物を着ている、いかにも『花魁』見たいな人が目の前で私を見つめていた。



「…やっと目が覚めたようでなぁ?…あんた、ずーと気を失ってて何をしても起きんかったんよ?」




「……」




「まぁ、今意識が戻ったようで何より。わっちがあんたの世話役じゃ。」


花魁のような人は、にこにこと話す。
廓言葉…と言うことはここは、




吉原?



















< 9 / 39 >

この作品をシェア

pagetop