Another moonlight
どこかから見張られているのではないかとか、帰り道で後をつけられたりはしないだろうかと少し不安になる。

だけど今の段階では気のせいかも知れないのに、大袈裟に助けを求めるのもどうかと思う。

サロンから自宅までは徒歩で15分ほど。

迎えに来てくれる人もいないし、周りを警戒しながら歩いて帰るしかなさそうだ。

(こんな時、すぐに駆け付けてくれる人がそばにいてくれたらなぁ…。でもこんなことでタカヒコさんには頼れないし…。)


ユキの付き合っている彼、植村 貴彦(ウエムラ タカヒコ)は36歳。

手作りの家具や雑貨を取り扱うショップのオーナーをしている。

1年ほど前、ショップやサロンのオーナーばかりが集うSNSのコミュニティーで知り合った。

最初はサロンに置きたい雑貨をたくさん買うから安くしてくれと値段交渉などをしていただけだったが、何度か連絡を取ったり実際に店に足を運んで顔を合わせているうちに、タカヒコの方から付き合って欲しいと言われ付き合い始めた。

住んでいる場所も少し離れているし、彼もまた仕事で常に忙しく、なかなか会えない。

おまけに買い付けに遠方へ出掛けると長期間帰って来ないことも珍しくないので、月に1度か多くて2度ほど、彼の都合の良い時に会う程度だ。

そんな付き合いが半年ほど続いている。

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