Another moonlight
「確かにもっと早くユキちゃんが好きだって言ってれば、付き合えたかも知れないよ。でもね、宮原くんがハルちゃんを選んだ理由はそれだけじゃないと思う。」

リュウトも確か同じようなことを言っていた。

ユキは、ハルのことを話しながら照れ臭そうに笑う幸せそうなリュウトの顔を思い出す。

「ユキちゃん、私はね。トモくんと別れてから妊娠してることを知って一人で産んだけど、なるべくしてこうなったんだと思ってるよ。だから私はマサキと会えたし、トモくんともまた会えたんだと思う。あの時別れてなかったら、私もトモくんも、今とは違う人生を歩んでたはずだから。」

「うん…そうかもね。」

「だから…アキくんが何も言わずにユキちゃんのそばにずっといたことも、ちゃんと意味があるはずだよ。もしユキちゃんが後悔してるなら、ひとつずつ乗り越えていかないと前には進めないと思う。」

ユキにとって、若いうちにたった一人で子供を産んで育ててきたアユミの言葉には、計り知れないほどの重みがあった。

「ユキちゃん、大事なことはちゃんと自分で確かめないとね。」

そう言って穏やかに笑うアユミはとても綺麗だとユキは思った。



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