オオカミ御曹司に捕獲されました
「どれどれ」

社長が頬を緩めながらキュウリの漬け物もつまみ、口の中に放り込む。

パリパリッといい音がした。

「これも旨い」

ふたりパリパリ音を立てながら漬け物を食べていると、社長秘書の桜井さんが現れた。

「社長、そろそろお時間ですよ」

社長にそう告げながら私と目が合うと優しく微笑む桜井さん。

今の私と社長の様子を見ても少しも驚いた顔を見せない。

社長が平社員と屋上でお昼食べてるなんて端から見たら異様な光景だと思ったんだけど。

桜井さんは草食系のイケメン。

身長は百七十五くらいで、顔は天使のように甘いマスク。

三十五歳位と噂で聞いてるけど、顔が若々しくて二十代に見える。

物腰柔らかで人当たりがいいが、仕事にはとても厳しい人らしい。

「おお、もうそんな時間か」
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