オオカミ御曹司に捕獲されました
自分の立場を理解していないほど愚かではないだろうから。

俺も厄介な女に好かれたものだな。

『僕も学さんの意見に賛成です。佐藤さんは自尊心が強いですからね。首にするのはかえって逆効果だと思いますよ。逆恨みされる危険性があります』

社長の後ろで控えていた桜井さんが俺を支持する。

この中で一番佐藤を知ってるのは桜井さんだ。

事件の関係者で他部署の俺が言うよりも説得力がある。

『なるほど』

親父は桜井さんの言葉に頷く。

『そう言えば、彼女から前に海外勤務の希望が出ていましたよ』

総務部長がポンと手を叩きながら思い出したように言う。

『なら、話は早いですね』

俺はニヤリとしながら、親父に目を向ける。
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