オオカミ御曹司に捕獲されました
「いいえ、表に車を待たせてますの。ご心配なく」

最初から長居するつもりはなかったってことか。

こいつなりに気を利かせているのだろう。

「気をつけて帰れよ。おやすみ」

エレベーターの前まで妹を見送ると、俺は家に戻った。

キッチンに行って桃を置くと、次に客室に向かう。

客室に置いてあるタオルケットを取ってくると、リビングに行きソファーで寝ている梨花にそっとかけた。

本当は客室のベッドまで彼女を運んでやりたいところだが、この右手では彼女を落としてしまうかもしれない。

それにしても……。

「梨花が江口さんの妹か……」

まだ推測でしかないが……。

さあて、どうしようか?

梨花は自分の父親の事をどの程度知っているのだろう?
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