オオカミ御曹司に捕獲されました
だから、私はおばあちゃんの勧めもあって、違う学区にある高校を受験した。

誰も私の事を知らない世界でゼロからやり直したかったんだ。

お父さんがいなくても普通に暮らせるって証明したかったんだと思う。

「お父さんの顔も名前も知らないけど、でも家族が可愛がってくれたから寂しくはなかったよ」

私は笑顔を作りながら、おにぎりを頬張る。

「そっか」

杉本君はそんな私をじっと見ながら相槌を打つ。

「それでね……申し訳ないんだけど、土曜日の今日か日曜日の明日、半日外出してもいいかな?おばあちゃんが老人ホームにいるんだけど、週末いつも会いに行くことにしてて」

「もちろんいいよ。その代わり、俺も一緒に行っていいかな?」

杉本君が意外な言葉を返す。
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