オオカミ御曹司に捕獲されました

ずっと杉本君は怖いって思ってたのに、今日は違う。

怖い目にあったからかな?

「梨花、降りるよ」

杉本君は抱擁を解くと、私の手をつかんだ。

「……うん」

杉本君の顔をじっと見つめながら、彼と共にゴンドラを降りる。

「梨花、どうしたの?」

私の視線に気づいたのか、杉本君は私に目を向けた。

マズいと思って慌てて彼から目を逸らす。

「ううん、何でもない」

俯いて首を横に振る。

何意識してんの?

やっぱり私……変だ。

それに、もっとずっと杉本君にギュッとしてもらいたかったって思ってる。

さっきの杉本君の抱擁が忘れられなかった。
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