オオカミ御曹司に捕獲されました
「す、杉本君!ビックリさせないで下さいよ」

包丁を握っていた私は、ギョッとしながら杉本君を注意する。

「ごめんね。最近、癖になっちゃって。で、今日のメニューは何?」

私の顔に頬を寄せる杉本君。

心臓がバクバク音を立てる。

動揺しているのを悟られないように、私はわざとツンケンした態度で答えた。

「イワシのつみれ汁とネギトロ丼です」

「……梨花ってさ、いいお嫁さんになるだろうね」

杉本君がニコニコ顔で呟く。

「何ですか、急に?」

杉本君の唐突な言葉に、私は小首を傾げた。

「もし、梨花にお父さんがいたら……他にも家族がいたら、花嫁姿見せてあげたいって思う?」
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