オオカミ御曹司に捕獲されました

『そうですね。ですから、品行方正で有能な学さんが早く社長になるのを心待ちにしてるんですよ』

電話の向こうで桜井さんがクスリと笑う。

「俺もその日を楽しみにしてますよ。では」

スマホに向かって微笑んで通話を切る。

まだ社長にもなっていないのに、桜井さんに早速牽制球を投げられたな。

それにしても、親父は何を企んでいるのだろう。

今日は江口社長を梨花に会わせららしいし、江口社長絡みか。

もし、江口社長が動くなら……。

「梨花の家族、増えるといいな」

スマホをポケットにしまうと、俺の膝の上で眠っている梨花の頭を優しく撫でた。