オオカミ御曹司に捕獲されました
私はもうすぐ自分の家に帰るんだから……。

「行ってくる」

杉本君が私に笑顔を向けると、私も咄嗟に笑顔を作った。

「行ってらっしゃい」

ドアがバタンと閉まるまで手を振って、杉本君を見送る。

彼にはちゃんと笑ってるように見えただろうか?

お昼になるまでに、私にはやることがある。

この家の掃除をして、杉本君のお昼ご飯を作って、そして……彼が戻る前に出ていかなくては。

「さあて、まずはトイレ掃除」

エプロンをして、トイレに向かう。

杉本君の右手の指はもう治ってる。

テーピングしなくても、杉本君はもう何の痛みも感じないらしい。

病院の先生もきっと「完治したよ」って太鼓判を押すに違いない。
< 307 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop