オオカミ御曹司に捕獲されました
服が濡れて冷たい。

驚いて後ろを振り返れば、女が空のコップを怒りの形相で握り締めていて……。

水をかけられたのか。いい迷惑。

この人、うちの専務秘書の佐藤さんじゃない。

長い茶髪に完璧なまでにメイクが施された顔。

一目でブランド物とわかるスーツを着ているけど、スカート丈は短いし秘書としての品位に欠けると思う。

彼女は高慢で高飛車だし、私の苦手なタイプだ。

私のすぐ後ろに座っている男の方は、やはり私と同じ海外事業部の杉本君だった。

彼……杉本学は私の高校時代の同級生で、同期で、うちの会社の社長令息。

百八十センチを超える長身に柔らかいダークブラウンの茶髪、俳優顔負けの端整な顔立ち。
< 6 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop