オオカミ御曹司に捕獲されました
これ以上の失態、受け入れられない。

それに、彼の言葉遊びに付き合うのは危険だ。

「……やっぱり言わなくていい。……出来れば昨日のことはお互い全部なかったことにして欲しい。その『梨花』って呼ぶのも止めてくれないかな?他の人が聞いたら変な誤解を招くよ」

何もなかったことにしていつもの平穏な生活に戻りたい。

だが、私の願いは杉本君に呆気なく拒絶された。

「却下」

杉本君が私の目を見てニヤリとする。

「え?」

私は杉本君の言葉に目を大きく見開いた。

「他人のことなんてどうでもいい。俺はね、結構梨花のこと気に入ってるんだ。このチャンス、逃さないよ」

杉本君の目がキラリと光る。

その目を見て身体がブルッとした。
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