国王陛下の独占愛

 同じ道をセヴェリもまた、馬車に揺られていた。

 馬車の前後を騎兵達がかためている。

 駅馬車の後を追っているが、結構な速さで馬車は進んで行く。

 この分では夜には、北の離宮につけるだろう。

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 ベルススの一番大きな町に向かう駅馬車を見送って、セヴェリは
 北の離宮に向かった。

 離宮につくと、建物に入るまえにセヴェリはトーゥレを呼ぶ。


   「町にいって、ソリの様子を見てきてくれ」


 トゥーレを送り出し、北の離宮にはいると、すぐにニクラスが駆け寄ってきた。

 その後ろから、アミラ妃もあらわれる。


   「お久しぶりでございます、陛下」

   「母上もおかわりないようで、安心しました」


 アミラ妃のあいさつにセヴェリも答える。

 アミラ妃は微笑んだ。

 セヴェリに母上と呼ばれることも今夜は気にならない。

 ザクロスからの報告で、セヴェリがあの薬師の娘を遠ざけるより他ない
 状況においこまれていることは知っていたし、今、セヴェリを見れば
 ひどく疲れて見える。

 いろいろなことがさすがにこたえているのだとアミラ妃は思った。

 明日には、もっと思いもかけないことになる。
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