国王陛下の独占愛
 
 そう呟きながら、カップに口をつける。

 一口飲んでセヴェリは目をつぶった。

 心地よさが染み渡っていく。

 お茶を飲むセヴェリを見ながら、ソリは尋ねてみた。


   「不敬罪となれば、どんな罰を受けるのでしょう」

   「そうだな......」


 飲み干したカップをテーブルの上にコトリと置いて、セヴェリは
 柔らかくソリを見た。


   「罰は......私が眠るまで側にいることだ」



 


 部屋の明かりは落とされ、ベッド脇に座るソリの側にある燭台だけが
 唯一の明かりだ。

 その明かりがぼんやりと、広いベッドに一人で眠るセヴェリの顔を
 浮かび上がらせている。

 そこには、心に傷を持ち、政治に悩む孤独な王の姿はない。

 ソリはじっとセヴェリの顔を見つめていたが、安らかな寝息が深くなったのを感じて
 そっと立ち上がり、静かに部屋をでていった。

 部屋の戸がパタンと閉まる音を聞いて、セヴェリはうっすらと目を開けた。

 眠っていたわけではなかった。

 身体は程よく重い眠気に包まれていたが、頭のどこかでソリの視線を感じ
 眠ることができなかった。

 それに......とセヴェリは思う。


   「罰は、眠るまで側にいること.......か」


 なぜ、あんなことを言ったのだろう。

 だが、間近にソリがいることに満足する自分がいたことは確かだ。

 ふっと短い笑いをもらすと、セヴェリは今度は本当に眠るために
 静かに瞼を閉じた。
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