国王陛下の独占愛

 二人は、中流の貴族が着るような服を着ていて、国王と
 その武官には見えない。


   「陛下......」


 ソリがそう呟くと、セヴェリはシィーと唇に指を当てた。


   「陛下はなしだ、セヴェリと名を呼べ」

   「どうしてこんな所におられるのですか?」


 そりの質問にセヴェリはちょっと首をかしげると、


   「市場の視察だ」


 と言った。


   「そのような格好で、しかもトゥーレ殿とお二人だけでですか?」

   「皆が国王と気づかない方が、より本当の姿が見れると
    いうものだろう」

   「それはそうですが......」

   「そんなことより、買い物はすんだのか」


 なぜ、国王が自分の買い物を気にするのだろうとソリは思ったが、
 素直に答えた。


   「いいえ、まだです。中央市場の店にはなかったので、
    西市場にいってみようと思っていたところです」

   「そうか......」


 ソリの返事を聞いたセヴェリはしばし考え込んだが、すぐに
 口を開いた。
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