国王陛下の独占愛
(9)

   「ソリが襲われただと!」


 次の日の朝、まだ着替え途中のセヴェリの前にやってきたトゥーレの
 報告を聞いて、セヴェリは大声をあげた。

 頭の後ろから、背中へ冷たいものをあてられたような気がして、セヴェリは
 身が震えだすかと思った。


   「それでソリは? なぜソリが襲われる?」

   「ソリ殿は大丈夫です。なぜ襲われたかはソリ殿がご存知の
    ようですが、詳しくは話してくださいません。
    ただ、祖父が狙われるかもしれないと何回も言われて、ずっと
    祖父クルト殿の側を離れようとはされません」

   「ソリは家にいるのだな」


 セヴェリの問いにトゥーレがそうですと答えると、セヴェリはすぐに
 歩き出した。


   「ソリのところへ行く」


 着替えを手伝っていた侍女が慌てた。


   「お待ちください、まだケープを身につけられていません」


 侍女の言葉にセヴェリは振り向くと、声を荒げた。


   「そんなもの、後でいい!」


 セヴェリの剣幕に侍女が身をすくめる。

 それを見て、セヴェリはきゅっと眉をよせると


   「怒鳴って悪かった」


 と呟いた。

 どうしようもないほどの焦りがセヴェリの中に湧き上がっていた。

 無事なソリの顔を見るまでは、落ち着けそうにないとセヴェリは思い、
 足早に部屋をでた。
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