無題
3
俺は森に行くことに決めた。

近くに見えるし、多分着くだろう。

段々と日も落ちてきて、住宅街からは晩御飯の匂いがする。

きっと今頃、俺の本当の両親とその娘も美味しいご飯を食べているのだろう。

俺も食べる権利のあったはずのご飯。

母親のご飯の味を俺はもう覚えていなかった。

懐かしいとは思わない。

でも、なんだか悔しかった。
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