雪に塩
「ユーハちゃん!」


「憑舌さん…!まだ開店前なんですが……」



「店長、分かっているさ。ユーハちゃんにこれをプレゼントしたくてね。」



鍼蔑が差し出したのは、数十本の花束だった。



「ありがとうございます。お花……ですか?」



手渡された形から花束だということは分かるが、何故か花の匂いがしないので疑問系になる。



「ああ、プリザーブドフラワーというんだ。珍しいだろ。今巷じゃ人気らしくてな、少し値が張るんだが、ユーハちゃんの為だと思ったら安いもんだ。」


「それはありがとうございます。竺牽捏さん、せっかくですから飾ってくれませんか?」



「ああ分かった。憑舌さん、貴重なものありがとうございます。」



杠が弾くピアノの横にはプリザーブドフラワーが。


鍼蔑は満足気に帰っていった。



「プリザーブドフラワー?ユーハちゃんにあれは無いわー」


「触れないし、匂いも無いし。憑舌さん、何考えてんのかなー」


「自慢したいだけじゃないの?憑舌さん、ユーハちゃんラブ!だから。」



キャバ嬢達の会話を裏口で聞きながら、それでも自分にはあんな風には出来ないと、靱は羨ましく自嘲した。
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