心外だな-だって世界はこんなにも-

銀の四辺形






今日、祭は夕方になっても約束の中庭のベンチには来なかった。



当然と言えば、当然かもしれない。俺には何もできない。無力だ。だから、無力な俺には、ここで祭の帰りを待つことしかできない。



せめて、帰りを待ってやろう。そう思って、点滴台を転がしながらベンチで待っていた。



でも、結局、祭は来ることはなく、看護婦に「夜の薬の時間だから、戻ろっか。」と促されるまで、俺はずっと待っていた。




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