ポプリ
「そう気負うな。学園には学園長を初めとする武闘派教師陣がいる。花龍もいる。龍一郎も龍乃先生の息子だから悪いヤツじゃねぇだろうし……」

 かつて担任だった恩師の姿を思い浮かべる麗龍。

 龍乃の子どもたちはどちらも彼女寄りの性格だと聞いている。きっとサバサバした付き合いやすい子たちだと思うのだが、ティーダは難しい顔をしたままだ。

 無意識なのか、腰のユースティティアに手を伸ばしている弟分を見て、麗龍は軽く溜息。

 曾祖父──麗龍にとっては祖父だが──を亡くしたばかりだ。彼の想いが篭った武器を託されて、気負うなと言う方が無理な話か。

「シケたツラすんな。今日はお前の歓迎会だからな」

 ティーダの金色の髪をぐしゃぐしゃにかき回して、努めて明るい声を出す。

「腕によりをかけてご馳走を作りますからねぇ。たくさん食べてくださいね~」

 ユリアも満面の笑みでティーダの顔を覗き込んだ。

 二人の笑顔に挟まれて、沈んでいたティーダの顔も明るさを取り戻す。

「はい、ありがとうございます!」



 夕食はユリア特製のロシア料理が食卓に並んだ。

 よく母が作ってくれた味に似ていて、ティーダの表情は和らいだ。













 ティーダの地球での生活、スタートです。

 この数日後に学園で龍一郎たちに出会う、と。

 


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