ポプリ
 そして気が付くと、ベビーベッドの反対側にヴラドがくっついていた。麗龍と同じように、じっと、無表情に娘を見つめている。

 やがて目を覚ましたルナは、何かを探す様にぐるりと首を回した。その顔は麗龍へと向けられる。

 軽く握られた小さな手が、招き猫のようにわたわた動く。

 ぐーん、ぐーん、と力一杯体を動かし、麗龍の方へと転がろうとしているようだ。生まれたてなので無理だが。

 その懸命さに頬を緩めていると。

「……何故貴様の方ばかり向くのだ」

 冷え冷えとした声がかけられた。

「さ、さあ」

 ヴラドの無表情が怖い。

 麗龍は恐怖の帝王な義兄を視界から排除し、愛らしい姪っ子だけをその目に留めた。

 ルナは相変わらず、麗龍の方ばかりを向いている。

「……何故貴様の方ばかり」

「知らね」

 冷や汗ダラダラかきながらも、麗龍はじーっと自分を見る姪っ子を見つめた。


 後に、麗龍の翡翠色の目と魔力が花龍に似ているからだろう、ということが解った。お母さんを探していたんだね、と花龍が説明したら、ヴラドから怨念めいたオーラが消えたのでほっとした。



 その後、シオンとリプニーの間に生まれた男の子を両親と一緒に見に行った。

 こちらは大人しいルナと違い、全身をもこもこ動かしている元気の塊だった。抱っこさせてもらったら、思い切り泣かれた。泣き声は怪獣のようだった。

 びっくりした麗龍はすぐにティーダをリプニーに返す。

 そして思う。

 お前とはもっと大きくなってから遊んでやるよ、と。













 ルナとティーダが生まれました。

 



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