雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「なぁなぁ穂香。野原絵里奈、帆鷹に何の話だと思う?」


 さぁ……? とポーカーフェイスで小首を傾げる穂香に、一緒にお弁当を食べていた千咲希(ちさき)は敢えて口をつぐんだ。


「まさかの告白だったりして!?」


 おどけた新太に、穂香は飲んでいたパックのコーヒー牛乳を噴き出しそうになって咽た。


「ケホッ、ケホッ。さすがにっ、ケホッ。それはないんじゃない? だって相手は、あの野原絵里奈だよ?」


 本当は動揺している穂香だったが、そこは笑って誤魔化す事にする。


「だよなー。さっき帆鷹から聞いたんだけど、野原絵里奈と同中らしい」


「へぇー。だったら、同窓会とかクラス会とか、そんな話じゃない?」


 新太にもっともらしく言いながら、そう自分に言い聞かせている穂香がいた。
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