雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「どうして、そんな事言うの?」


「鬱陶しいんだよ、いつまでもガキ扱いされんのが!」


 言い過ぎたと思い、匡が千咲希を見ると、目を見開いて今にも泣き出しそうな顔で。それでも匡は続けた。


「とにかく、もう話しかけるな」


 千咲希に背を向けながら言うと、匡は足早に歩き出した。

 拒否された、そう思った千咲希は追いかける事が出来なかった。どんどん遠ざかる匡の背中が、ぼんやりと涙で滲む。


「たっくん……」


 匡が好きだ――。千咲希は、溢れ出す涙が頬から首筋へと伝うまま、そこで泣き続けた。
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