雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
そしてそこに新しい風が吹いた
「どうしたの、そのカッコ? なんかのイベント!?」


 萌果は伊万里の腕を掴み、上から下まで舐めるように眺めてから言った。


「えっと……」


 伊万里は困ったように俯く。悠李はそんな二人の様子を興味深く見守っている。


「めちゃくちゃ似合ってるよー! 後で一緒に写真撮ろ? アタシもこんなカッコしてみたいー」


 浴衣姿ではしゃぐ萌果とは対照的に、伊万里はなかなか口を開こうとしない。自分も知りたくなった悠李は、二人の間に入る事にした。


「ここじゃ目立つから、ちょっと場所変える?」


 悠李の言葉に、萌果も伊万里も顔を上げた。 


「落ち着いて話も出来なくね? 人多いし」


 確かに、周りは花火大会帰りの人波で溢れていて、伊万里の姿はその中でも十分目立つ。


「あっちに、小さいけど公園あったはず」


「ホントに? 悠李、案内してよ」


 悠李は気安く頷くと、ごった返す人混みを外れて歩き出した。萌果と伊万里もそれについていく。


「お兄ちゃんも気になるけど……今はこっちが大事」


 萌果は独り言のように呟くと、伊万里の方を見て微笑んだが、伊万里は唇をキュッと結んだままだった。
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