隣に住むのは『ピー…』な上司
歩きだしたいの……
あれから二週間、課長との交際は順調です。

オフィスではこれまで通り、上司と部下の関係を続けています。

時々目が合うこともある。

でも、お互い直ぐに逸らすようにしていました。



「社内恋愛はご法度じゃないんだけどな」


そう言われても、課長は今や『時の人』

あの大口契約を決めて帰った時から、社内での評判は上々で、今だに女子たちが顔を見にやって来ます。



「仕事のできる男って感じした!」

「フェロモンあるよねぇ〜!」

「今落としたい男ナンバーワンだと思う!あの人の下で働きたいっ!」


更衣室での会話を耳にして部屋に帰れば、Tシャツと短パン姿のラフな課長がいて。



「藍〜〜!」


甘えてくる姿はもはや上司でも何でもない。


「キャラ崩れ過ぎてますよ、課長!(私がしっかりしないと…!)」


思わずそんなふうに気構えてしまうのだけれど。



「エプロン姿似合うよ」

「藍の料理は上手い!」

「笑ってみて。藍」


課長のことを知れば知るほど可笑しくて。


「ご、ごめんなさい。ちょっとツボにハマった……」


笑いながら涙することが増えました。
子供っぽい課長も崩れまくりのところも面白くて。


なのに。




「……そろそろいいだろう?」


男っぽく迫ってくるところはあって、それに対してどんな言い訳も通用しないけれどーーー



「ま……待って下さい…!」



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