隣に住むのは『ピー…』な上司
助けてくれ
翌朝、やっと食事が喉を通りました。

昨夜は発作が起きたのと話さずにはいれなかった過去のことで食欲もまともに起きなかった。


課長のくれたメロンは美味しかった。
でも、食べながら幸せよりも切なさみたいなものを感じてしまった。


今日、オフィスへ行って課長に何か聞かれたらどうしよう。
嘘も上手くつけないし、これ以上話したくもない。


カチャッ…と皿を重ねて流しに運ぶ。
食器を洗いながら何故か小鳥の世話をする課長の顔を思い浮かべていました。


ピーチという小鳥に話しかけている時の顔は優しそうに見えた。

普段のオフィスでの表情しか知らなかったから新鮮な感じがした。


意外にもマメな性格なんだと思った。


水を変えたり餌をあげたりしている。


あの課長がーー。



「おかし…」


面白い。

どことなく身近な人に思える。


「こんなふうに言ったら怒られるわね」


昨日の恐怖を一時忘れて食器を洗った。
皿をカゴの方に移し、洗濯物を干しにベランダへ出た。



「今日もいい天気だ〜〜!」


梅雨明けの空は気持ちがいい。
日差しは暑いけど気分が良くなる。



『ピロロ、キュルルル』


昨日聞いた鳴き声が聞こえる。
ピーチと呼ばれる小鳥のさえずり。



(可愛かったなぁ)


ベランダに飛んできた日のことを思い出した。
手の中に収まった小鳥はまるで、か弱い子供のように思えた。


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