隣に住むのは『ピー…』な上司
(失敗した気がする……)


パタンとドアを閉めて反省。

『女にならない?』というセリフはまずかった。
アラフォーが言う言葉にしてはどこか軽薄すぎる。



「……なんて言えば良かったんだ」


お前が気になると言えばいいのか。

可愛らしい顔をもっと見せろと言うのか。



「愛想を振るのは苦手なんだよ」


不貞腐れながらの言い訳。

10歳近くも年の離れた女が頭から離れないなんて、俺はどうかしている。



「…くそっ、もう懲り懲りだと思ってたのに…」


悔しいながらも思い出す笑顔に惹かれる。

初めて見るような顔を目にして、改めて心を奪われた。



「いい顔してたな…」


30歳になろうかって女には見えなかった。
どこか幼くて子供のようにも思えた。


「だからって、ロリコンなんかじゃないぞ!」


誰に聞かすでもなく呟く。
白鳥 藍のことが、ただ気になるというだけだ。


昨夜の電話で話してる最中、彼女が泣いてるような感じがした。
沈んだ声で出てきたから、どうしたのかと心配になった。



『「ただいま」って言葉も久しぶりに言いました。私はずっと、一人きりだったから……』



罪悪感を感じた。
寂しさを掘り起こさせてしまった…と、少しだけ後悔した。


過呼吸の発作を起こした時、白鳥の親について話は聞いた。

亡父の弟に引き取られ、世話になっていた…と語った。


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