君がうたう七つの子
勿論僕自身を好きなんじゃないか、なんて思っていない。

ただ、なんとなくだけど、普通に褒められることよりも僕の絵を、いや、僕を認めてくれたかのような気持ちになった。

言った本人に他意はないことはわかっているが、そう考えだした途端むず痒い気持ちになってくる。

たぶん照れているのだ。

この年になって、相手の何気ない一言で照れることになるとは。

人生なにがあるかわからない。

僕の様な若造が人生について語るなどおこがましい事この上ないだろうが、今だけは許してほしいものだ。

そうでも思ってやり過ごさなければもたない。

僕の中の何かが、容量オーバーになる。

そうなる前に、レイに会う前にこの精神状態をもとに戻さねばならない。

でなければ、また変にからかわれそうだし、こちらもやりきれない。

どうしようか。

親が仕事でいない、僕一人の静かなリビングでうろうろとしていると、急に自宅の固定電話が鳴った。

これはとりあえず頭を休ませたまえ、と言う神の思し召しかもしれないと思い、僕はいそいそと受話器をとった。
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