君がうたう七つの子
そんなえげつない彼女は最後に釘をさすように

「沢村くんは変わることに怖がっているみたいだけど、踏み出したらそうでもないよ。

案ずるより産むがやすしってね。

そりゃあ、悪い方向に転がって、転がり落ちていって、堕ちるところまで堕ちちゃうこともあるけど、沢村くんはそうならないから大丈夫。

私の予言って凄くよく当たるから、大丈夫」
予言の事、絶対忘れないでね


そう言って去っていった。

ビフォーとアフターの印象の落差が凄まじいことこの上なかったが、僕個人としては最後のほうの彼女のほうが素を出してくれたようで好きだ。

でもその好きに恋愛感情は無い。

初恋もまだな僕には、僕に好意を寄せてくれる人に対して接し方がわからないくらいで、ドキドキして意識することもない。

だって、その好きという感情すらわからないのに、それを向けられてもわからないのだ。

その場で答えを頂戴と言われていたら、ごめんなさいと言ったのだろうか。

わからない。

とりあえずまだその時は来ていないので、今はこれでいいのだろう。

わからなくて、いいのだ。

彼女もきっとそう思ったから、ああ言ってくれたのかもしれない。

そう思うと、何もかも彼女の計画通りなのかという思いよりも、感謝の思いのほうが強かった。

僕のことを、何もわからない鈍感な僕を気遣ってくれたことに。
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