cherry blossom

ぬくもり






「…ふ、あっくしゅ




…ぅぅ……さっぶ……」


背筋に寒気が走り、豪快にくしゃみをしてしまい、鼻をすする。

思わず両腕で自分の体を抱きしめる。

ぶるぶるっと体を震わして辺りを見回す。


桜並木の川沿いでそこらじゅうの散った花びらが

茶色いローファーの横で風に煽られてくすぶってた。



放課後


昼間のい〜い天気が嘘みたいにどんより空が厚ぼったかった。



「春の天気じゃないって……」


じみーに、寒い。


四月だと思って油断して

ブレザーを着なかった朝の自分が憎い。





……それから、


なんだかんだ結局早退しちゃった自分も

ちょこーっとにくい。









「……雨、降りそうだなぁ







……降ったら、


花びら、全部落ちちゃうなぁ……」




こんなに両手いっぱい広げて

頑張って咲いてるのに


雨が降ったらもうさよならなんて。



「……寂しい」










ぽつ、ぽつ、とアスファルトの色が濃く塗り替えられてく。


たた、たた、たたたた、たたたたたた……と


雨音がリズムを刻む。


走るわけでもなく、


ただひたすら、さっきまでと変わらない歩調で歩く。






寒い。









寒い。








高嶺くんの体温の名残を求めてるのか


私の両手は腕をさする。










寒い。



















寒い。

















人肌に慣れてしまうと




こんなにも一人は














寒い。



































ぬくもりを知ってしまった人間は











こんなにも


















弱い。















< 131 / 141 >

この作品をシェア

pagetop