それを愛だというのなら


次の日も、私は学校を休んだ。

健斗からは『どうした? 風邪?』とメールが来た。

私は『うん』とだけ送りかえし、再びベッドの中にもぐる。

このままじゃいけないとはわかっているんだけど、なかなか何かをする気になれない。

夕方まで部屋で過ごしていると、急にスマホが鳴った。

いつものように短い着信音じゃない。

メールじゃなく、通話の着信を告げるそれに、一瞬どきりとする。

そこには、健斗の名前が表示されていたから。


「もしもし……」


どうしても無視できなくて、電話を取ってしまった。


『瑞穂。大丈夫? 寝てた?』


学校を休んでいることを心配して、電話をかけてきてくれたのかな。


「うん。もう大丈夫」


こんな状況なのに、声を聞けただけで嬉しくて。

大丈夫なんて強がりを言ってしまう自分がいる。


『俺が夜中まで連れまわしたから、風邪ひかせちゃったかな』


花火の日のことを言っているんだろう。


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