それを愛だというのなら


「みんな、どうだった?」

「まあまあ、普通かなー」

「私はけっこう良かった」


サツキとヒトミが淡々と答える横で、フミがさらにため息をついた。


「彼氏いるとさ、うっかり電話とかメールしちゃって、勉強おろそかにならない?」


彼女はそう言い、私に同意を求める。


「うっわ。何気に感じ悪い発言!」

「彼氏いないうちらへのあてつけか!」


サツキとヒトミがぶーぶー言う。


「……あー……私、別れたんだ。もう水沢くんとは何の関係もないし、劇もやらないことにした」


劇のことは、昨夜演出さんに連絡しておいた。

あまりにも下手でみんなに迷惑をかけてしまうので、という理由にしておいたら、意外にあっさり諦めてくれた。

演出さんは口には出さなかったけど、私の下手っぴな演技に頭を抱えていたんだろう。


「は?」

「マジ?」

「なんで? どうして? っつうか、彼と付き合い始めたエピソードすら、うちら良く知らないんだけど」


ひとり、どうして私と健斗が親しくなったかを知っているヒトミは、すごく微妙な顔をしていた。


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