それを愛だというのなら


「そうなんだよね~不思議なんだよね~」


そろそろと彼の腕をつかんでいた手を離し、誤魔化そうと笑う。

自分でもぎこちない笑顔になっているのがわかった。


「まあ、完治したって本人が言うならそうなんだろうね。おめでとう」

「ありがとう」

「じゃあ、いいよ」

「えっ?」

「病気じゃないんなら、つきあってもいいよ」


あまりにさらっと言うので、聞き流してしまうところだった。

付き合ってもいいって、今、言ったよね!?


「本当?」

「うん。よろしく、瑞穂」


そう言って、彼は右手を差し出した。

自分でもどうしていきなり告白してしまったのかよくわからないのに、承諾されてしまった。

ううん、あの日保健室に運んでくれたあの時から、私は彼を好きになっていたのかもしれない。


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