王様の命令は?


私が部屋を出るのを見て、匠もカバンを手に立ち上がった。



「柚奈」


「なに…」


「あんま無理すんな」



後ろから頭をぽんぽんとされて、思わず立ち止まった。


すっと横を通り過ぎてく匠。




「今日はお疲れ」




そんな挨拶にも私は何も返せなかった。



玄関へとおりていくその背中をただただ見つめて、呆然。



っ…何が起きた…!?


どういう感情で頭ぽんぽんとかしてきたの?



時間差でやってくる胸のドキドキに困惑して、しばらく立ち尽くした私。



なんなの、あの男ーー!



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