不思議の国の白雪王子
♠Episode 5.

真っ赤なお城の真っ赤な門をくぐり抜けた所で、
 

白雪は「中の様子見てくる。」とどこかへ行ってしまった。


「ちょっ…」


こんな所に1人で置いて行かないでよ!


そう思っていると、耳元で「キュ?」とスノーが鳴いた。


「あ…スノー。」


よかった。スノーがいるなら心細くないや。


私は一安心し、改めて辺りを見回す。


すると、緑色に生い茂った木が何本もある事に気が付いた。


全部が全部赤色って訳でもないんだな…


ハートの女王も、さすがに自然には勝てなかったんだろう。


って事は、この芝生とあの川は人工的に作ったのね…


私はそんな事を考えながら木に近付く。


フサフサと風になびいている木には、赤いリンゴの実が成っていた。


私の手のひらのサイズくらいある大きなリンゴ。


それはツヤツヤと光沢を放っていて、思わずかぶりつきたくなるほど美味しそうだった。


「きれいなリンゴ…」


私は無意識に手を伸ばしてしまう。


「それ、あんまり触らない方がいいよ。」


もう少しで手が触れる…そんな時に背後から声がした。


驚いて振り返ると、男の人が立っていた。


「えっと…」


「毒リンゴだから。」


「えええ!?」


男の人のその言葉に慌てて手を引っ込める。


危なかった…!


この人が声をかけてくれなかったら私、絶対食べてた!


「教えてくれてありがとうございました!」


私はそう言って頭を下げ、それから男の人を見た。


うわー…この人すごいカッコイイ…
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