不思議の国の白雪王子
白雪の顔から手を離し、今度は腕を彼の首に巻きつける。


つまり、私が白雪を抱きしめたのだ。


「う…っふ…うう…グスッ」


白雪も私の頭に手を回し、よしよしと撫でてくれる。


その手は、とても優しかった。


「なんでアリスが泣くんだよ?」


「…っだって…グスッ」


「ん?」


「分かんない…けど…っ」


「うん」


「私は…っ白雪の…ことっ…好きだし…」


「は!?好き…っ!?」


「クロさんも…っグスッ…白雪の事…っ大好きだもん!」


「…あいつは、1番最初に俺から離れて行った。」


「ちが…っ誤解…だよ…」


「…とりあえず、落ち着け。」


白雪はまた私の頭をポンポンと撫でてくれる。


それから数十分もの間、私はずっと白雪の腕の中で泣き続けた。


白雪は、そんな私を嫌がる素振りも見せなかった。


ふぅ…ようやく少し落ち着いて来たかな。


「落ち着いたか?」


私の顔を覗き込んでそう言ってくれた白雪に対し、


「ん…ありがとう…」


私は顔を隠しながら返事をした。


白雪は私のその態度に、少し怪訝そうな顔をする。


「なんで顔隠すんだよ?」


「……」


だって、昨日も今日も泣きまくって顔がパンパンなんだもん!


こんな顔白雪に見られたくない!


それに…さっき私、白雪に好きって…


好きって言っても、友達としてだけど!


私は白雪の言葉を無視し、彼の腕から離れようとしたが…


「あの…白雪?」


「ん?」


「もう離してくれて大丈夫だよ?」


「ん…」


そう返事をしたのに白雪の腕はビクともせず、離してくれる気配もない。


白雪はグイグイと腕を押す私を見て、少しだけニヤッと笑う。


コイツ…絶対また何か企んでる!


「〜っ!なんで離してくれないの!」


「俺の事見るまで離してやんない。」


俺の事見るまでって…こんな顔を見せられる訳ないじゃない!
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