大切な人へ
ー先生sideー
車に向かって歩いていたら
彼女が部屋から出てきているところだった
彼女のその姿に思わず見とれてしまった…
白いワンピースとウェーブのかかった髪を揺らし
満面の笑みで手を振っていた
思わず口元が緩む…
その日の彼女はずっと嬉しそうで 楽しそうで
本当の彼女といる様な錯覚に何度も落ちた
俺は本当に彼女の事が好きだ
いつの間にこんなに好きになってたんだろう…
だからこそ不意に現実に戻ると苦しい
彼女の気持ちも知っていてこんな事をしていて
いい筈がないのに…
俺は自制心が弱いらしい…
夕食の後も 隣で嬉しそうに笑う彼女が
可愛いくて仕方ない
この前からずっと頭に引っ掛かっていた事が
口から溢れてしまった…
何が欲しいって聞いた時の彼女の視線
一瞬唇を見て赤くなった表情
欲求が疼くのを理性が抑える
言って欲しい… そしたら…
『キス…してほしい』
俺は自分に負けたんだ
でも彼女を思う気持ちに嘘はない