ラブ パラドックス
【ごめん帰ってます】


一旦、これだけで送信した。続きのメッセージを考えていると、すぐ既読になり、メッセージがきた。


【よかった。よいお年を】



夏目くん。

そんな締めくくりの言葉を送られたら、続きが送れないよ。わたしもそう返すしかないでしょ。電話もかけにくくなっちゃったよ。

夏目くんは、私と話すことなんてない、そう思ってる?


【いろいろごめんね。ありがとう。
おやすみなさい。よいお年を】


夏目くんの反応が怖くて、無難な文章しか送れなかった。

もう、何もかもうまくいく気がしない。ネガティブ全開の状態で付箋アプリを開き、何の気なしに少し遡る。

昨日も、一昨日も、些細なことばかりだけど、自分を褒めている。


読み進めていくうちに、情けなくて、腹が立ってきた。



わたし、何やってんの?


全然成長してない。


わたしが望み、行動すれば変われるって、あの日、占い師に言われたのに。


日記を書くだけじゃ意味がない。

行動しなきゃ!



【仕事始めの日想いを伝える】


付箋に決意を書き記した。



「夏目くんが好き。うまくいく。絶対大丈夫」



わたしがわたしを信じなきゃどうするの。

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