ラブ パラドックス
「メンズはジャケットの袖から、1センチくらいシャツを出すんだけど、女性は出さないのが基本」

「なるほど」

「一つボタンでシンプルなスタイルのがよく出るよ、最近」

「ふむ、なるほど」

「タイトでひざ上すぎるスカートほど、かっこ悪い着こなしないよ。あんなのAVだけにして」

「ああ、あれ」

「葉月さんにはパンツスーツ着させたいな。手足が長くてスタイルいいから、絶対かっこいいよ」

「やや、そんなこと、」

「でも逆に、グレージャケットにふんわり白スカートの甘口コーデもいいな。インナーはネイビーのチュール素材とか」


大きな鏡の前で、入れ代わり立ち代わり合わせてみてくれる。接客上手で、しょっぱなから驚異的な距離の詰め方だった中村くんは、採寸のために女性スタッフと変わるまで、あれこれ教えてくれた。


その間、夏目くんはというと。

ネクタイを一生懸命選んでいた。


少しは中村くんと一緒になって、意見を言ってくれればいいのに。そりゃあ、わたしと夏目くんは、最近仲良くなったただの同期だけど。


「ね、どう?」

フィッティングルームから出て、パンツの裾を合わせてもらいながら声をかけたら、鼻の頭を人差し指で撫でながらにこっと笑って。


「すげえいい」


と言ってくれた。
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