ラブ パラドックス
Chap.03 変化
「わ!どしたの。傘持ってなかったの?」

お昼を買いに行った夏目くんが、全身びしょ濡れで帰ってきた。やべえなこれ。とへらへら笑う夏目くんを、慌てて給湯室に連れて行った。


「俺濡れるの平気」

「平気じゃない!プールじゃないんだし、11月だよ。早く上着脱いで」


半ば無理やり脱がしハンガーに掛ける。よく見たら、右半分が色が変わるほど濡れていて、水滴がしたたり落ちている。

タオルを2枚棚から取り出し、1枚を夏目くんに手渡す。

もう1枚で、届く範囲で水分をふき取っていく。


「1階の歯医者の子とコンビニで会って、傘なくて困ってたから傘に入れてあげた」

「へえ。仲いい子いるんだ」

「一緒のビルで働く顔見知り程度だろ。あ、でもこの前帰りにばったり下で会って、駅まで一緒に帰ったか」

「そうなんだ。ね、その子かわいい?」

「かわいいんじゃね?お前と違って、すげえ素直そうで、かわいらしい感じ。ちっこいし」

「あっそ。風邪ひいて寝込め!」

「いって、おい、投げんな」

タオルを顔面めがけて投げつけた。


最低!

人が気にしてることを。
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