ラブ パラドックス
日曜の閉店後、凛子の毛先をカットで微調整してから、ダークチョコレートの落ち着いたカラーを入れた。
並行してメイクも済ませ、今はコテで巻いて最終段階だ。
ブロッキングして、まずは毛先を外ハネのワンカール。残りの髪の毛は、自然な動きが出るように、内、外、ランダムに巻いていく。トップにボリュームを出して、仕上げにワックスを揉み込む。
この後、いつものように顔の1部を隠して、店の広告用に写真を撮って終わりだ。これが目的で閉店後に来るよう凛子に頼んだ。
「でね、陽のご家族がすごく歓迎してくださったの。弟がね、めちゃくちゃ面白くてさ。あ、弟さん二人いるんだけど、」
「はいはい。お前さ、俺以外に恋バナできる友達いないわけ?」
「いるし。量より質だから。この前も友達に陽を紹介したし。今話してるのは、陽は私のものって光くんに牽制してるだけだし、別にのろけじゃなくて…もう急に恥ずかしくなってきた」
「陽、陽、ってラップかよ。この前は夏目くん呼びだったのに。ラブラブかよウザ」
大きな鏡越しに凛子が俺を睨んでくる。でも口角からにやけてるのが伝わってくるし、俺もそれにつられて笑ってしまう。