僕の星

恋人のひと言

 名古屋から東京まで新幹線で1時間43分。あっという間だった。千葉に行くには京葉線ホームに移動して、特急に乗り換えである。

 電車は房総半島をどんどん南下し、うたた寝するうちに○○駅に到着。
 予約したホテルにはタクシーで向かった。

 春彦の故郷は外房にあり、車窓の向こうには太平洋が広々と横たわっている。海と反対側は丘陵地帯であり、春彦の言うとおり自然がいっぱいの場所だった。

 夏には海水浴場になるだろう砂浜が見える。ごつごつした岩場では磯遊びができそうだ。春彦は子どもの頃、海でたくさん泳ぎ、山で走り回ったと話してくれた。
 よく日に焼けたやんちゃ坊主。そんな姿が目に浮かび、里奈は微笑んでしまう。

(素敵。ここが春彦の故郷なんだ……)

 ホテルに着いてチェックインを済ませると、里奈は5階の部屋から春彦に電話した。
 呼び出し音がいくつも鳴らないうちに応答があった。

『おう、里奈。どうしたんだ』

 聞き慣れた彼の声なのに、里奈はなぜかドキドキしている。

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